皆様、新年明けましておめでとうございます。
昨年は、新年早々の能登での地震での災害や、復興も途中なのに大雨による災害など、能登地方の方々には非情な試練が与えられた年でした。政治の動きから復興への道筋もまだ見えていない中、被災した方々の心情を思い、心からお見舞い申し上げます。
私にとっての 2024 年の製品安全評価・認証活動は、電気用品調査委員会への参加が認められ、多くの方々と製品評価・認証に関して議論する機会があり、有意義でした。現在の監督省庁の方々は2011年の弊社への行政指導に関する私の見解を理解されているようです。人生の終活として、私が見聞き、体験したことを後世の関係者に残しておきたいとの発言に、賛同のお声もいただきました。今まで腹の底に収めていたことをすべて言えたので、今後は横にいる弊社の担当者が訪問しますからよろしくお願いしますと伝えたところ、ぜひまた来ていろいろな話を聞かせてくださいとのお言葉をいただきました。よい関係が構築できたのではと感じています。特に電気用品調査員の中に“事故調査委員(仮称)”が創設されたと報告があり、いち早く手を上げたところ、快く参加が認められました。
そんな中で、国立大学長岡科学技術大学技術経営研究科の三上良貴教授が残してくれた“安全マネジメントの歴史を歩く”を再度読みなおし、私の製品安全評価・認証業務から得た経験と知識を活用してもう一度、製品評価・認証業務の見直しを関係者の方々に提案していくことを終活の一部にしたいと決意する次第です。

見直しを提案する理由:

  1. 製品評価・認証に使用する規格が、その規格を作る時点で対象製品の大きなリスクをどのように解決して、製品化するかが明確でないことが多いように思います。
    昔、某社(PC 製造会社)の製品安全担当者から、その会社はリチウム電池を使わないことを会社の方針と決定したと聞きました。リチウム自体が水分で発火する性質をどうすれば安全に封じ込められるかの議論が少ないまま今の規格が出来ていて、リチウム電池の事故が減らないのではと私は見ています。
  2. また電気トースターの食パンが飛び出ない際に子供がナイフやホークを使って引き出す行為で感電する事故も多発しました。このようなリスクが製品規格の作成時に十分に考慮されずに規格が発行されたのではないかと今となっては疑念があります。

そのような、現在世の中に存在する多くの製品安全規格を、もう一度リスクアセスメントの観点から見直し、使用者や関係者の生命と財産に危害を加えない、そして使用者の安心・安全に配慮した規格であるか否か審査する、そして、不備があれば規格自体を改良・改訂するグループを創設する時期だと思うのです。

大戦後、日本の素晴らしい技術者たちはたくさんの電気製品を世界に送り、現在の生活水準の向上と文化の発展に大きな役割を担ってきたと思います。生産拠点の移転という形で労働工賃の低い地域への移行が進み、日本国内での生産は減少しつつあると言えますが、大戦後の日本の工業の発展を支えて来た技術者のみなさんはまだまだ活躍されていると思います。その方々の知識・経験をどうか製品安全の評価・認証の現場に活かしていただきたいと思いますし、77歳を迎える私自身も今までのノウハウをなんとかして残したいと思う一心です。
今年は可能な限り関東地区にいて、関係者の呼び出しに即対応できる体制で臨みたいと考えています。そしてできるだけ早急に一般社団法人の組織を構築し、技術者を集め、リスク分析の甘かった規格の改訂提案グループに成長させ、 “国民へのより安心・安全配慮に”少しでも貢献したく思います。
そして日本で民間唯一の NCB であるコスモスの認証製品カテゴリーの拡大と、ISO 17021 に沿った社員教育で、倫理的行動の取れる製品安全技術者を育成し、1000 年企業へのスタートの年にしたいと思います。
皆様のご指導、ご鞭撻を伏してお願い申し上げます。